🏛️ 歴史の謎

ナスカの地上絵に新たな143点——AIが砂漠の斜面で「猫」を見つけた日

山形大学の研究チームが2019年に発表した143点の新発見。その中にはAIが初めて検出した地上絵も含まれていた。

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砂漠の斜面に刻まれた「猫」

ペルー南部の乾燥した台地に広がるナスカの地上絵。ハチドリやサルなど巨大な動物の形が地面に描かれていることは広く知られている。しかし2019年11月、山形大学の研究チームがひとつの発表を行い、考古学の世界に静かな驚きをもたらした。新たに143点もの地上絵が確認されたというのだ。

今回発見された絵のなかで、ひときわ注目を集めたのが「猫」を描いたとされる図像だ。全長約37メートル。丘の斜面に刻まれており、長年にわたる風化で線が薄れていたため、これまでの調査では見落とされ続けていた。猫は古代ナスカ文化においてどのような意味を持っていたのか、現時点では分かっていない。宗教的なシンボルだったのか、それとも単なる装飾だったのか——解釈は研究者のあいだでも分かれている。

AIが「目」となった最前線の発掘

143点のなかには、人工知能(AI)の画像解析によって初めて発見された地上絵が1点含まれていた。山形大学とIBMが共同で取り組んだこのプロジェクトでは、航空写真データをAIに学習させ、人間の目には判別しにくいかすかな地形の変化を検出した。

これは考古学の現場におけるひとつの転換点といえる。広大な遺跡を人海戦術で調べ尽くすことには限界がある。AIを「もう一組の目」として活用することで、埋もれていた痕跡が掘り起こされる可能性が一気に広がった。今後の調査次第では、さらに多くの地上絵が姿を現すかもしれない。

それでも答えが出ない「なぜ」

ナスカの地上絵に関して、最大の謎は今も変わらない。誰が、何のために、これほど精緻な絵を大地に刻んだのか。儀礼説、水源を示す地図説、天文カレンダー説——どの仮説も有力候補に挙がるが、決定的な証拠はいまだ見つかっていない。

新たに見つかった143点の図像は、そのパズルに新しいピースを加えた。猫や魚、人型など多様なモチーフが混在しているという事実は、地上絵が単一の目的で描かれたわけではない可能性を示唆している。古代の人々が何千年もかけて積み重ねた「語りかけ」を、私たちはまだほんの断片しか読み解けていないのかもしれない。

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