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バミューダトライアングル「消えた飛行機」の謎を解いた一枚の記録

恐怖の海域として語り継がれるバミューダトライアングル。しかしその「神話」は、データが積み重なるにつれ静かに崩れ始めていた。

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「消えた19番飛行隊」が残したもの

バミューダトライアングルの語り草として、最も繰り返されてきた事例がある。1945年、米海軍のアベンジャー雷撃機5機で編成された訓練飛行隊が、フロリダ州フォートローダーデール基地を飛び立ち、そのまま消息を絶った。「フライト19」と呼ばれるこの事件だ。

交信記録には、リーダーのパイロットが「どちらが西か分からない」「海が普段と違って見える」と混乱した様子が記録されている。その後、5機は大西洋のどこかに墜落したとされ、捜索に向かった飛行艇1機も同日に消えた。計14人のパイロットと13人の捜索隊員、合わせて27人の命が一夜にして失われた。

「神話」が生まれた理由

この事件が「超常現象の証拠」として喧伝されるようになったのは、事故から数十年後のことだ。1970年代に入ってから出版された複数の書籍が、バミューダ海域での失踪を意図的に集め、宇宙人や時空の歪みといった解釈を付け加えて広めた。だが調査機関の記録をつぶさに追うと、別の像が浮かび上がる。

フライト19の場合、リーダーは経験不足の訓練生だった。羅針盤の誤読と悪化する天候が重なり、燃料切れで夜の海に不時着したというのが現在の有力な見方だ。捜索機の消失も、発進直後に爆発音が目撃されており、機体の整備不良による事故と考えられている。「消えた」のではなく「墜落した」のだ、という整理は、遺族にとっては残酷なほど地味な結論かもしれない。

データが静かに覆したもの

英国の保険市場ロイズをはじめ複数の海上保険機関は、バミューダトライアングル海域に対して特別な危険割増保険料を設定していない。世界の主要航路が集中し、海底地形が複雑で天候が変わりやすいこの海域では、統計的に見ても他の海域と比べて特異なほど事故が多いわけではない、というのが専門家の見解だ。

「謎の海域」という物語は、いくつかの本当の悲劇の上に、恐怖という感情が積み重なって形成された。フライト19の27人は確かにそこで命を落としたが、その死の理由はおそらく、天気と人為ミスという、痛ましいほど普通の原因だった。

不思議なのは、それが「判明した」後も、バミューダトライアングルの神話が色あせないことかもしれない。人は、説明できてしまった謎よりも、説明できない謎のほうを、どこかで望んでいるのだろうか。

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