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太平洋の深海が発した謎の音「ユリア」——その正体に迫る

1999年、太平洋の深海で記録された奇妙な音響「ユリア」。15秒にわたる上昇音の正体について、研究者たちは今も完全な結論を出せていない。

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深海から届いた、15秒間の「叫び」

1999年3月、アメリカ海洋大気庁(NOAA)が太平洋の深海に張り巡らせた水中音響監視システムが、奇妙な音を捉えた。音は約15秒にわたって上昇し、その後ぷつりと途絶えた。研究者たちはこの音に「ユリア(Julia)」という名を与えた。

音の発生源は、南米大陸の西側、赤道付近の深海と推定されている。水中では音波は遠く伝わる性質があり、記録された音は広範囲の複数のハイドロフォン(水中マイク)に同時に届いていた。それだけ「大きな何か」が起こった可能性を示していた。

研究者が出した、意外な仮説

NOAAの公式見解は、巨大生物の鳴き声ではなく「大型氷山が海底や大陸棚に接触した際に生じる音」というものだ。南極近海では氷山が移動しながら海底地形に引っかかり、独特の音響現象を起こすことが知られており、その特徴がユリアの波形と一致するとされる。

ただし、この説にも完全な証明はない。音の発生源の特定は三角測量による推定であり、誤差が生じる余地がある。また、観測された年に当該海域で大型氷山の接触を裏付ける記録が乏しいという指摘も一部研究者から出ている。科学的に「最も合理的な仮説」ではあっても、「確定した事実」ではないのだ。

未知の音が呼び起こすもの

ユリアが注目される理由の一つは、1997年に記録された別の深海音「ブループ」との比較にある。ブループもまた謎めいた音として広く知られ、「超巨大生物の声」という憶測が広まったが、後に氷山起源の可能性が高いとされた。ユリアもその流れで語られることが多い。

それでも、深海という場所が持つ未知の広がりは、単純に「解決済み」と切り捨てることを難しくする。地球の海洋のうち、詳細な探査が済んでいるのはほんのわずかとされており、そこにどんな現象や生物が潜んでいるのかは、現在の技術でも把握しきれていない。ユリアの正体が氷山だとしても、それはある意味で深海の「解明されていない部分」のごく一端に触れたに過ぎない。

1999年に記録されたその音は、今もNOAAのアーカイブに残っている。静かな研究室のスピーカー越しに再生されるその15秒を聞いたとき、あなたは何を想像するだろうか。

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