🏛️ 歴史の謎

三星堆の青銅仮面が示す、日本人のルーツへの問い

中国・四川省の三星堆遺跡で出土した異形の青銅器は、遠く離れた日本列島の縄文文化と、奇妙な共通点を持つ可能性が指摘されている。

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四川の地底から現れた「異形の顔」

1980年代から本格的な発掘が進んだ三星堆遺跡は、中国・四川省の成都平野に眠っていた。地表から掘り起こされたのは、通常の人間の顔とはかけ離れた造形をした青銅の仮面や、高さ数メートルにおよぶ人物像だった。目は大きく突き出し、耳は横へと張り出している。中原の殷周文明とも、その他の同時代文明とも一線を画すその様式は、研究者たちを長らく困惑させてきた。

この遺跡が属するとされる「長江文明」は、黄河流域の文明と並ぶ、あるいはそれ以上に古い歴史を持つとも言われる。紀元前3000年を超える時代にさかのぼる可能性すら議論されており、その全容はいまだ解明されていない。

壊されて埋められた遺物、縄文との奇妙な符合

三星堆の出土品には、際立った特徴がある。多くの青銅器や玉器が、意図的に破壊されたうえで土中に埋められていたのだ。これは単なる廃棄ではなく、何らかの儀礼的な行為だったと考えられている。

同じような痕跡は、日本の縄文遺跡でも確認されている。土偶が意図的に壊された状態で出土するケースが各地で報告されており、その意味をめぐっては諸説あるが、いまも定説には至っていない。地理的に遠く離れた二つの文化が、なぜ似た「壊して埋める」という行為を共有していたのか。偶然の一致なのか、それとも何らかの文化的なつながりがあったのか。

遺伝子と言語が示す、消えた民族の痕跡

長江文明の担い手の末裔とする説が存在するのが、現在の四川省などに暮らす少数民族のイ族だ。注目されるのは、二つの点である。一つは言語の語順。イ族の言語は、英語やほとんどの中国語とは異なり、日本語に近い「主語→目的語→動詞」の構造を持つとされる。もう一つは遺伝的な特徴だ。Y染色体のハプログループD系統は、チベット人やアンダマン諸島の人々に多く見られるほか、日本人の男性にも比較的高い頻度で確認されている集団のひとつで、イ族にもこの系統が多いとする研究報告がある。

さらに、日本の稲作の起源が長江中流域にあるとする説は、現在の考古学・植物学の分野でほぼ支持されている。稲とともに何が伝わり、何が伝わらなかったのか。三星堆の仮面は無言のまま、私たちに問いを投げかけ続けている。

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