村ごと飲み込まれた巨石陣——エイヴベリーという奇妙な場所
イギリス南部に、5000年前の巨石サークルの内側に今も人が暮らし続ける村がある。世界遺産でもあるその場所の謎を掘り下げる。
石の「結界」の中で人々は今日も眠る
イングランド南西部、ウィルトシャーの丘陵地帯に、世界最大級のストーンサークルが存在する。「エイヴベリー」と呼ばれるその遺跡は、あのストーンヘンジよりも規模が大きく、直径およそ400メートルに及ぶ土塁と溝が大地を円形に区切っている。その内側には100基以上の巨石が立ち並び、かつてはさらに多くの石が配置されていたとされる。
驚くべきは、その「結界」の中に現代の村がそのまま収まっていることだ。パブがあり、住宅があり、教会がある。羊が石の間をのんびり歩き、観光客と地元の住民が同じ道を行き来する。世界遺産の核心地に、生活の匂いが漂うこの光景は、初めて訪れた者を不思議な感覚に引き込む。
誰が、何のために築いたのか
建設が始まったのはおよそ紀元前3000年頃と推定されている。文字を持たない人々が、重さ数十トンに及ぶサルセン石を遠方から運び、精密に配置した。現代の技術でさえ容易ではない作業を、どのような道具と組織力で成し遂げたのか、詳細は今も解明されていない。
用途についても諸説ある。天体観測や農耕暦として使われたという説、祖先の霊を祀る儀礼の場だったという説、地域の人々が集う聖域だったという説——どれも完全な否定も証明もできていない状態だ。興味深いのは、中世になって一部の巨石が意図的に倒され、土中に埋められた形跡があることだ。キリスト教が広まる過程で「異教の象徴」として忌避されたとも考えられているが、それすら推測の域を出ない。
5000年の時間が重なる村
20世紀初頭、考古学者アレクサンダー・ケイラーがエイヴベリーの本格的な調査と石の復元に取り組み、遺跡の全体像が改めて世界に知られるようになった。彼は私財を投じて土地を買い取り、倒れた石を起こし直した。その執念がなければ、今日のエイヴベリーはさらに多くの石を失っていただろう。
現在、村はナショナル・トラストによって管理され、住民と遺跡が共存する独特の景観を保っている。5000年前の石と、昨日建てられたかのようなコテージが隣り合うこの場所は、時間の感覚を不思議にねじ曲げる。
先史時代の人々がこの円の中心で何を見ていたのか、何を願っていたのか——石はただ黙って、風雨の中に立ち続けている。